西式健康法の硬枕(木枕)利用について考えてみた。
基本的には自分に適した大きさのものを選び、後は仰向けに寝転んで使うだけである。
その時に「枕をどの辺りに置けばいいのだろうか?」と患者さんに質問を受けたことがある。
それについては本には頸椎2番辺りに枕の一番高い辺りが来ればいいということなのだが、はっきり言って頸椎2番がどの辺りかわからんよね。ということで一応どの辺りに枕が来ればいいかを、ざっくりだが言い切りたい。それはずばり、頭と首の付け根付近である。
頭蓋骨と頸椎の並びは、当たり前だが頭蓋骨の付け根に頸椎1と2番が来る。この1と2は当たり前だが、そんなに離れていない。どうしても番号で明確に言い切られると厳密にしたくなるだろうが、ざっくりで十分である。
なぜならば頸椎1番が環椎という輪っかのような形状であり、2番が軸椎という突起がついたものでその突起が1番の輪っかに引っかかるような構造になっている。だから一体とまでは言えないが、結構一体感のある構造体になる。さらに枕の構造を観てほしいが、湾曲構造でありどこが一番高いかが明確なようで明確でない。
どう明確でないかは枕を使用してみると解るかと思うが、頂点部が明確な突起として出ているわけではないので、該当部位に当たっているのかが結構曖昧に感じてしまうのである。
その辺りを確認してもったところで重要なことを書き記したい。この枕は仰向け専用であり、横向きには対応していない。
困った事実
どうして横向きに使うべきではないかというと、枕の高さが足りないためである。
それ以前に痛くて側頭部に枕を当てて寝ることができないと突っ込みが来るかと思うが、人間は慣れてくると大丈夫になってくるから怖い。そして横着な人間はついでに側臥位(横向き)でも使い出すのである。
すると枕の高さが足りないために頸椎がずれ易く、また肩関節が巻き肩的に内にずれ易くなる。
木枕でもって側臥位で寝続けると、人体の横向きに対して重力の作用で時間をかけて姿勢が崩れていくということだ。
しかし仰向けになって首の下に枕を当てると、枕の湾曲が頸の生理的湾曲にはまることで首の前後の歪みを矯正してくれる。
これは後頭部が床につかない為に、頭の自重でもって枕の湾曲が頸の生理的湾曲を頭の重みという重力を利用した牽引でもってじっくり矯正してくれるからだ。
牽引作用によって頸の凝りは改善されるし、また枕の硬さが接する皮下の末梢血管に圧作用で内径を狭めることで静脈血が勢いよく心臓へと還るのを促進させるというおまけつきだ。
このおまけのおかげで血行が促進されて疲労物質などが洗い流されるかのように血流不足が改善されやすくなる。
これは平床にも言える作用であるが、原理的には水やり中にゴムホースを指で押しつぶすことでホースの内径を狭めると、水圧が上がることで遠くまで水が飛ぶ原理と同じである。
ただしこの原理も人体に応用する場合は、一点に圧がかかり過ぎてしまうと拙い。ゴムホースの様に内径が狭くなる血管と内径が完全に押しつぶされて血流が阻害される血管が同時に出てくるからだ。そんな時はだいたい人体は適度に身じろぎをすることで床ずれのような循環不良からくる潰瘍が起きないように、本能的に身じろぎをする。
ただこの身じろぎができない人がまれにいる。高齢者や身じろぎするだけの体力のない人、またはやせ型で少しの身じろぎでは間に合わない人たちだ。そのような人たちの場合は、長時間の一定姿勢での使用は禁止である。また長時間利用するよりも、短時間程度の利用が望ましい。
昼寝の30分程度など、ごく短い時間でもって日に数回にわけて利用するぐらいが最初はいいかもしれない。
良くなるためにとやせ我慢で頑張り過ぎてはいけない。その頑張りが身体にとってはしごきになってしまうかも知れないからだ。くれぐれも注意してほしい。
木枕の選び方
書籍には、目安として薬指の長さと枕の半径の対比が出てくる。
絶対とまでは言わないが、大抵は薬指の長さで木枕のサイズを合わせて大丈夫な事が大半だ。ただ実体験として頸が凝り過ぎて枕が合わなかったことがあった。その時は市販の一番大きなサイズでは大きさが合わず、その一つ下のサイズの物がぴったりだった。
この時のサイズの合わせ方は、枕を首にあてがい床と顔が平行になっているかで判断するといい。
顔が平行にならずに、顎が下がる様であれば枕が大きいし、反対に顎が上にあがるようならば枕は小さいと判断する。薬指であらかたの目安をつけて試してみるのが一番良いゆえんだ。
自分の場合は、この方法で選んだ枕が半年後には小さくなってしまった。こんなことは異例中の異例だと思われるが、枕がしっくり感じない時は一度大きさを再度確認してみるといいかもしれない。
微調整レベルであれば、タオルを巻くなりして周径を大きくすることで対応もある程度できる。