西式健康法の金魚運動を考察する
仰向けに寝転び、頭の後ろで手を組む。そして両脚を揃えてつま先を軽く返してふくらはぎに適度な緊張を促す。こうすることで床との接地点を肩甲骨付近、お尻、ふくらはぎの三点とする。
この時に足の緊張と脱力の塩梅が難しい。慣れるまでは腰周りや太もも前面の力みからの解放を目指しながら、爪先を適度に返して内ももから踵までの適度な緊張を維持する事だけを目指すといいだろう。
やりがちな身体操作的には、太ももの前面や外側を緊張させてしまうのは誤りである。これでは力の伝達が落ちてしまうために、うまく身体を揺することができない。どうしても身体を大きくうねらせることとなり、疲れ易いうえに脊柱や腰の緊張を緩和することができない。
金魚体操の左右の振りをつくるのは、上半身というか首と肩から脇腹にかけてであると思う。この辺りは魚でいうとちょうどヒレの出てくる辺りになるのではないだろうか。
振幅は足からでもいいのだが、自力で動かす分には非常に難しくなる。
金魚なんかをじっくりと観察してもらうと解るかと思うのだが、魚の左右へのうねりはあのひれ辺りから動き出しているのである。
イルカやクジラは腰を使うような前後のうねりを利用して推進力を生み出すが、魚は体を左右にくねらせることで推進力を生み出す。腰で左右に振ることがいけないというわけではないが、腰と上半身が一体となって左右にうねるような流れを生みだせるならば問題ないだろう。
お手本はまさに金魚の動きである。あと左右へ大きく振幅する必要はない。金魚運動の動きを通して、何を求めるかである。大きく動かした方が気持ちのいい時は大きく動かせばいいが、おそらくしんどいのではないだろうか。
金魚体操に求める意味
金魚体操は背骨の左右の狂いを改善する為の体操である。
それと同時に腸管内の内容物を均等に散らし、左右の蠕動運動補助としての副次効果が期待される。他にも身体を動かすことによって、リンパ液や血液の循環促進が期待できる。
このことから蠕動運動促進と背骨の左右に対する狂いを矯正する意味、そしてちょっとした循環促進効果があるといえるだろう。
おおよその目安
求める効果によって異なる。
●便意を促すのならば金魚運動を先ず3分実行。
そしてその後に合掌合蹠を50~100回、そして毛管運動を2~3分を実行する。この金魚運動(左右効果)・合掌合蹠運動(上下効果)・毛管運動(腹部の循環促進と腹圧効果)をワンセットと考えて、しばらく繰り返しているとだんだんと疑似蠕動運動となって便意を誘発する。
ただ水分不足によって便が固く栓になってしまっているような時は、洗腸や浣腸でもって洗い流すか摘便をおこなう必要がある時もある。ただこのような状況は、腸壁を傷つける可能性が高い。普段からちびちびと水分をこまめに補給し、大腸が渇水しすぎないように工夫するかスイマグなど第三類医薬品に分類されている緩下剤を用いるのがよい。
第三類の緩下剤は腸壁を刺激して下痢を誘発するのではなく、油や水分の被膜によって便通をよくするタイプなので腸の疲労は少ないと思われる。ただ水分タイプでは水の飲み方によっては腸を冷やすことがある。油のタイプでは異常発酵につながることもあるので、ケースバイケースではある。
また便秘には味噌湿布を施すことでも蠕動運動が活性化されて効果がある。(
●背筋の左右軸の狂いを調整する。
この場合は、金魚運動をいろいろな調子の振り方で実施するといい。大きくゆっくりとした振幅や小刻みに脱力した状態での振幅など。
先ずは筋肉の強張りをゆっくりと解きほぐす。骨の狂いを整えるのは、それからである。
筋を解すには、動かしやすい方向へ先ずはゆっくりと気持ちの良いだけゆすり続ける。反復させる時に、背骨を中心とした時に同じだけ動かすのではなくだ。動かしやすい方向へ動かしたいだけ動かす。
それは小刻みかもしれないし、または大きくゆっくりかもしれない。
こうすることで筋肉が動く時に血管が締め上げられることで血液が動く。これを筋ポンプ作用というが、これを利用して血液をじっくりと筋肉を温めながら流していくイメージだ。それこそ油の切れた蝶番に油を馴染ませるような感じだろうか。
筋肉や靭帯の強張りが解けだしたら、そこからは左右を同じように小刻みに反復させる。速さは個人に適したリズムを探すのが一番だ。そしてこの動きをするときに背骨を一本の縄の様にイメージしながら首から足に向けて一連の連なりとして連なって動くことを意識する。イメージとしては鞭がしなるような滑らかな動きの伝達といったイメージだろうか。首からだけではなくその反対に足から頭に向けて動きを伝えていく事も問題ないのだが、自力でおこなう時は難しいと思われる。
こうすると背骨がしなり一筋の連なりの様に滑らかに動くようになってくる。そうなればしめたもので、左右の狂いはだんだんと矯正される。うまくすれば背骨の左右以外の矯正ともなると思われる。