朝夕が涼しいから肌寒いになりつつある。
平床と木枕で寝ていると、最近は窓を開けっぱなしていると朝方が寒く感じる。つい最近までは肌掛けすら掛けずに寝ていたのに着実な季節の移ろいを感じる。
そして思うのが、ぼちぼち人体の内の冷えに対処しておかないと体調が狂い出すだろうなということだ。
なぜ体調不良が起こる?
体調不良になりやすい理屈は単純なものだ。季節の変わり目には気圧の変化や気温の変化が問題になる。夏→秋なら気温が暑いから涼しいに替わり、湿度も乾燥傾向に変わっていく。この変化が人体にどう影響を与えるのだろう?
気温の変化に対応するために人は毛穴の開閉度合いを調節させたりする。そして何よりも筋肉で体温を発熱する量を調節する。この一連の流れに携わるのは自律神経であり、自律神経は身体の各器官の伝達調節役といった感じだろうか。
何らかの状態で自律神経の働きが鈍くなっていると身体の各器官の連携がスムーズにいかずに、連携不和から体調不良を感じるようになったりもする。
話を戻すと現状は冬よりは寒くない。このために本格的な産熱よりも体温を逃がさないようにする皮膚の働きがポイントである。そして夏場の副交感神経優位な自律神経支配から徐々に冬に向けて、交感神経優位な身体へとシフトしていく必要がある。
気温が涼しくなり風が体温を下げることで、身体は保温機能と産熱機能を活用する必要が出てくるし気圧の変化にも対応しないといけない。これらの影響から恒常性がスムーズに活動し続ける為に自律神経はてんてこ舞いである。
すると自律神経は鈍りだす。
だから打つ手は自律神経の手助けと回復を助けてあげることだろう。
ではどうすればいいのだろうか?
自律神経の手助けは、体温の産熱の必要性に介入するといい。一番は身体が行いたい反応がスムーズになる様に手伝うことだ。その為には毛穴の開閉調節がスムーズにいくように手伝うことである。夏場は汗腺を活発に活動させていたが、これから涼しくなると汗腺の活動よりも鳥肌をたてるような毛穴を閉める活動と、グローミューを介した末梢循環の調整がメインになる。
一季の間あまり使わない機能は退化気味になり、直ぐにはスムーズな作動が期待できない。その為に準備体操をしてあげるといい。方法は裸療法や温冷浴がお勧めである。
また外気温が下がることで、深部体温と外気温の関係が変化する。外からの加熱率が下がることで体温調整の比率が変わる。外からの熱が減る分、深部の冷えに対処しておかないと身体を一定に保つという意味で帳尻が合わなくなってくるわけだ。
その観点から夏の間に冷たい飲食などで冷やし気味になっていた内臓の冷えを今のうちに改善することで、寒くなるストレスに対して身体にかかる負担が変わってくる。そして寒冷ストレスからに対して産熱する頻度が減れば、トータル的に自律神経にかかる負荷も減ってくる。しかも安眠効果も高くなることで睡眠の質が良くなるから自律神経の回復にも役立つ。
内に対する冷え解消にはどんな対処法があるのだろう?
簡単なところでは飲食による対処法だろう。冷たいメニューを温かい物に置き換える方法と朝夕にマグカップ一杯程度の白湯をゆっくりと時間をかけながら、チビチビと飲むのもよいだろう。白湯によって胃腸を温めることで、消化器系の代謝が上がり物理的に冷えに対処することができる。
ただこれだけだと産熱機能の活性化にはつながらない。だからじっくりと散歩するなどの軽く体温が上がる程度の運動を心掛けることも必要である。そしてこの運動するということには、他にも体幹と末梢との体温のむらを改善するきっかけになる。
体温のむらがあると自律神経的には多大なストレスとなる為、外気温が冷え切る前に脳に体温の調整を覚えこませる必要がある。冷え性は夏の間に治すという理屈と一緒である。それに体温にむらがあると風邪をひきやすくなる。
季節が安定して身体が順応するまで
内臓など身体の内側を温めることを意識する。方法は飲食や運動もいいし、気持ちがいいと感じる程度の湯たんぽやこんにゃく湿布などで内臓を温めるといい。
特に肝臓や胃腸を温めて働きを活発にしてあげると効果的なように思う。首筋など上半身が冷えてきだしたら、肩甲骨の間と首の付け根までを温めるといい。首を温めすぎると頭がオーバーヒートするといけないので、付け根辺りまでがいい。
そうして身体の内側を温めつつ、皮膚を寒冷刺激にたいして動かす準備運動に温冷浴や裸療法がいい。
春夏と温冷浴を継続してきた人はこれからの季節も温冷浴が苦になりにくい。末梢循環に活を入れる為にも継続することをお勧めする。水温差が20度あればいいといわれているので、冬の水はそこまで冷たくなくてもいい。
浴槽にためてしばらくすると水温が18度以下になりそうだが、そこは気合でのり越えようとしなくてもいいし、ふろ場を加温してもいい。あくまでもシゴキではなく、鍛錬でなくてはならない。鍛錬には目的がはっきりしていることと同時に、無理しすぎない負荷をかけることが重要だ。そしてその負荷をしっかりと自力で回復させることで鍛錬となる。
火傷することも凍傷になることも必要がないから、適温で適度な刺激をする必要がある。けっして我慢大会にはしてはならない。