ある情報共有サイトに投稿されていた投稿です。
病理学者で海外留学中、ついこの間新妻先生とワクチンについて対談形式で紹介してくださっていた峰先生が、新型コロナウイルスの呼吸を介しての感染様式についてのわかりやすい図を作ってくださったので紹介します。
ウイルス学を医学の一分野として学んだ私が空気感染という言葉を使うとき、この図で言う所の飛沫核感染を指します。飛沫核は水分の飛んだ状態で空中を漂っている病原体であることがほとんどで麻疹ウイルスや結核はこの形式で感染することもあります。従来の空気感染=飛沫核感染する病原体ではその最小発症量は極めて小さく、少量でも感染すると考えられます。
一方で、新型コロナウイルスの最小発症量は平均1000個程度ではないかと現時点では言われています。すごく少ないわけでもないですが、マスクや換気で吸入量を抑えることでかなり予防効果が期待できるようです。この図で示されている100μm以上のウイルスを含む水滴が2m程度のphysical distanceで自重で落ちてくれる水滴、飛沫感染のメインであり、100μm以下のウイルスを含み、自重で落ちにくい水滴がマイクロ飛沫やエアロゾルと呼ばれるようなものだと思います。この小さな水滴は滞空時間が長いですが、体積が小さい分含まれるウイルス量も少ないでしょうし、大量に吸い込まなければ発症しにくいだろうと考えられます。したがってマスク着用や頻回、もしくは常時換気が有効です。
また湿度の低い環境では吐く息だったりくしゃみをしたりで出てくる息の中の小さな水滴は飛び散りやすいという結果が出ています。また私見ですが、乾燥した状況では大きめの飛沫も水分が飛びやすく、含まれるウイルス量はそのままに径が小さくなって滞空時間が長くなり、より多くのウイルスを含む飛沫を吸入しやすい状況になるのではないかと思っています。気道粘膜でウイルスを排除する線毛細胞の機能や自然免疫細胞なども乾燥により働きが落ちるのではないかと思います。加湿器を持っている企業はヒト細胞を障害する次亜塩素酸水その他の外用消毒薬を噴霧せず、本来の加湿器として使用して頂くのが感染対策として有効だと私は考えます。
マスクに関して言えば、飛沫をキャッチして吐く息の飛沫をトラップする効果、吸い込む飛沫や微細な飛沫を減らす効果の双方が指摘されています。マスクは至近距離で話すときにはつけるべきです。TVでマウスシールドを着けているのは表現者として口元の動きを見せる必要がある為で、マスクを外したりマウスシールドをつけて話をする政府関係者は報道陣から離れた位置、換気されている場所で使用しています。マウスシールドはマスクの代わりにはなり得ません。フェイスシールド単体も同様です。