2021年2月上旬現在、新型コロナウイルスについてもいろいろな事が解ってきている。
その現状で解っていることを整理してみたい。
新型コロナウイルスの死亡例から見る危険度
新型コロナウイルスは感染確認され出した当初は、日本においてはそこまで致死率の高くないものであると認識されていた。ただ肺炎になることから、決して軽視していいものではない。質の悪い風の一種であり、インフルエンザよりも致死率は高くならないのではないかといわれていたぐらいだ。
それから一年以上が経過し、その認識は改められている。インフルエンザと違い季節性の流行というよりも通年での感染拡大が確認され、秋から冬にかけてはその拡大は猛威を奮うといったところだ。また病の既往歴がある場合、致死率が高くなる。そして肺炎による後遺症が数か月以上に及ぶことが報告されており、肺炎を悪化させた人については世代を問わず、大半が何らかの後遺症を有しているようだ。
「1年経っても続く“後遺症” 「ダイヤモンド・プリンセス」集団感染から1年」
「呼吸困難や味覚障害は発症4カ月後も…20代以上の全世代でコロナ後遺症 東京都モニタリング会議で示された調査結果」
新型コロナウイルスに罹患して重症化しやすいという意味では、若年層よりも中高齢者によってリスクは高くなっていく。これは年齢が高くなるにつれて何らかの疾患を有していることによるところが原因であると推測される。その為にも重症化リスクをもつ人や高齢者をいかに社会的に保護するかを考える必要が今後はあるかもしれない。
『コロナで命を落とした4000人を分析して分かった、リスクの高い「持病と既往症」』
上のリンクから見えてくる持病と既往歴の重症化リスクを考えると、中高齢者の大半が重症化予備軍になってくる可能性が出てくる。また過労気味の今の日本の労働環境的には、新型コロナウイルスとの親和性はないともいえるだろう。ウィズコロナを叫ぶならば働き方もさることながら、根本的な生き方や生活の仕方にまで改革を進める必要があるのかもしれない。
そうした意味では感染症という危険度もさることながら、現代日本の社会構造に変革を迫るウイルスともいえる危険さだ!
新型コロナウイルス感染症とは?
1「新型コロナが引き起こす身体の異常が次々発覚」
2「感染初期、舌や手足に異常か スペイン研究チーム 新型コロナ」
3「コロナ後遺症の味覚・嗅覚障害 ほとんどの患者が「亜鉛不足」」
4「新型コロナは「血管」の病気 冬は血栓ができやすく要注意」
5「新型コロナ感染、男性の生殖機能に影響か ドイツ研究、懐疑的な見方も」
6「コロナ感染でにおい感知組織が脱落 少量のウイルスでも 東京大など発表」
7「コロナ後遺症、20~30代でも8割前後 「嗅覚障害」「味覚症状」「たん」など」
8「新型コロナは「“新しいタイプの風邪”であることは間違いないと思う」元厚労省医系技官が見解」
9「新型コロナに「かかりやすく重症化しやすい人」の共通点は?国際的に活躍する教授の見解は…」
これらの参考記事から症状の傾向を抽出したいと思う。
初期に舌に歯痕舌や舌苔の剥落をともなう舌にでる異常や確認されることがある。さらに手のひらや足の裏に関しては、熱を感じたり、赤く変色したり、一部では小さな染みが確認されることもあるようだ。そして上気道から肺にかけての呼吸器感染症としての肺炎や風邪に観られる症状とさらに心臓や血管の炎症、腎臓障害、消化管炎症、脳神経炎、そして急性心筋梗塞や脳梗塞といった血栓症を生じることが明らかになってきている。
他にも後遺症からは脱毛所見や倦怠感に息苦しさに咳を訴える人が多いようだ。
感染初期に出る「コロナ舌」の所見を舌診で分析してみたい。
1のニュース映像中に観られる舌の情報からだと歯痕舌や舌の浮腫み→陽虚や気虚などのタイプに分類できるのではないだろうか。
舌苔の剥落の場所は個人差があると思われるが、舌の色調的に冷えを感じさせる。もう少し紫や青みがかると瘀血と言い切れるかと思うが、ニュースの映像自体に色調の処理をかけている可能性を考えるとミスリードにつながる断定をする方が危険だろう。
そして感染者の体験談の中に、熱いお風呂に入っても寒く感じるとか書かれていた。この所見が事実ではなかったとしても、それだけの悪寒を感じていたと読み取れるかと思う。ここにも陽虚の所見が見出せる。
お隣中国の中医達が新型コロナウイルス感染者をどの様に分析したのか?非常に鍼灸師としては興味があるのだが、そうした情報は今のところ自分にはほぼ聞こえてきていないが、非常に興味がある。傷寒論、張仲景がまとめた古典医書だが、その中に案外と今後の打開策が隠されているといいのだがはたしてどうなのだろうか。興味のある人は下のリンクを覗いてみるといいかもしれない。
「【緊急寄稿】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する漢方の役割(渡辺賢治ほか)」
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する漢方の考え方 - 阪急西宮北口駅2分 李漢方内科・外科クリニック
あと興味深いのが、3の亜鉛不足が味覚障害の根幹にはあるかもしれないという情報だ。早い段階で亜鉛をサプリメントなどで補う方がいいのかもしれない。特に味覚を職業に活用されている飲食関係の人などは特に気をつけた方がいいのかもしれない。
8のニュースが伝える現実的な事実だ。流行の初期段階で新型コロナウイルスはただの風邪であるという情報があったが、おそらくその基となる専門家達の意見だと思う。ただ初期の頃に情報を都合の良いように解釈し、ただの風邪だから大丈夫だと信じたい部分の情報だけに飛びついたような愚を繰り返してはいけない。
あくまでもいくいくはただの風邪のような扱いに変わるだろうというだけで、現状の人類の免疫学習段階では以前肺炎に進行しやすい危ない人には十分脅威なウイルスには違いないのだ。ワクチンによる学習によってどれぐらい早まるかは謎だが、おそらく普通の風邪の状態に落ち着くには10年前後はかかるのではないだろうか。これはあくまでも勝手な予想なので、根拠となる情報が出せるものではない。
最後に9のニュースが伝える事実は、大半の日本人にとっては非常に考えるべき事でもある。重症化しやすい理由が血管の老朽化ともいえる末梢循環の不調や腸内環境の異常にきっかけがあるとするならば、薬で誤魔化せばだましだましなんとか無理してもいいかと考える世代には考え方を変える転換期といってもいいのかもしれない。
医療体制自体も今後はより予防医学的な分野と健康指導的な分野に力を入れるべきである。以前から世間の一部では言われてきたことだが、今回改めてウイルスを通して何らかの示唆を受けたともいえる状況ではないだろうか?新型コロナウイルスが投じた一石を、ワクチンや対応策が出ることで今後世情が落ち着くにしたがって今一度真剣に考える必要もあるのだと思う。
ここではニュースをリソースに、予防を目指して対応策を練りたい。
現状の一般的な対策を確認したい
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- 手洗い
- うがい
- 三密を避ける
- マスクを着用
- できるだけ感染機会を減らす
- 換気をする
- 比較的健康的な生活(運動・食事・休息)を心掛ける
1手洗い
目的:手の衛生向上、口や鼻に目などの粘膜部にウイルスを送迎しないのが目的。あと手を使ってウイルスをもち出さないのも重要ではあります。
一時期はアルコールによる手指消毒で、新型コロナウイルスのスパイクたんぱく質が溶解する性質を利用して感染防止対策とする為に手指消毒用のアルコールが手に入れにくくなる状況にまでなった。しかしアルコール消毒よりも先ずは石鹸による手洗いが基本であり、この場合は流水によってウイルスや菌自体を汚れとともに洗い流す事を目的にしている。
だから手洗い後の手をふくタオルや方法には一応配慮がある方がいい。より丁寧な人は、手洗い後にアルコール消毒をする方もいるようだが、日常生活を営むだけであれば手洗いをしっかり手首や爪先に指の又部分も含めて丁寧におこなうならばそこまで過敏に気にする必要はないと思われる。
だからお店などでアリバイ作りというような建前だけの手指消毒を適当に済ませると、もれなく媒介者になる可能性が出てくるようには思う。ポイントは手の清潔操作であり、食べる時はできるだけお箸などを利用した方がより安全なように思う。
また料理はできるだけ大皿であっても配膳された時に分散しておく方が、直箸で突き合うよりリスク分散できるように思う。
2うがい
目的:口腔内から咽頭にかけてをうがいによる洗浄をかける。口腔内の菌繁殖への牽制と外から持ち込まれた雑菌やウイルスを排除する。
何でうがいするか?そこにこだわられる方もいる。例えば私はサンスターの健康道場で健康体操を指導することがあるのだが、去年の講習時は訪れるとサンスター製のアルコール入りのマウスウオッシュでうがいすることを求められた。これはある意味手指消毒時にアルコールを利用するように、マウスウオッシュに含まれるアルコールで新型コロナウイルスのスパイクタンパクを攻めようという試みだろう。
他にも知り合いの産婦人科医であり、日本笑い学会の重鎮である昇先生に昨年お会いした時に受けたアドバイスには、緑茶でうがいするというものがあった。この緑茶うがいについては、以前から昇先生の講演でも登場している。もともとはインフルエンザウイルスの予防にいいということで、緑茶うがいは数年前より紹介しておられた方法だ。
この様に何でうがいするのか?うがいする溶液中の効能に期待してのもいいだろう。ただこうした効果が期待できる液体でないといけないかというと、必ずしもそうではない。うがいとは、本質的に液体でもって口腔内ないし咽頭部を洗い流すことに意味を見出す。洗い流すことによってウイルスや菌の濃度は下がる。このうがいという行動によって、口腔から咽頭にかけての乾燥は改善される上に洗い流されて雑菌などの繁殖も防ぐことができことにまず意味がある。
洗い流した後に、さらに溶液によって口腔内の雑菌繁殖を防ぐことを期待するのか殺菌作用を期待するのかは+αであるといえる。塩水でうがいしてもいいだろうし、より除菌というか殺菌性の強いイソジンなどでうがいしてもいい。ただこうでなければならないというものではなく、定期的に口腔や咽頭を洗い流すことの方がより効果的なのかもしれない。
ただうがいに対する注意点としては、イソジンやマウスウオッシュなどの殺菌作用の強いものを利用する場合は多用すると自身の粘膜の負担になる可能性もあるという点だ。良かれと思った習慣が負担になってしまうこともあるので、反省というか検証でもって都合の悪い時は方向転換を図るべき時もあるかと思う。
3三密をさける
目的:空気感染することが確認されている新型コロナウイルスとの遭遇確立を下げる意味と、遭遇してもウイルス濃度を下げることで感染確立を減らす効果が期待される。
空気感染する時に、一定のウイルス濃度に達すると感染しやすくなる環境になる。これは新型コロナウイルスに限らずにいえる感染過程の問題なのだが、人の身体は元来精密で防御力はそこそこ高くできている。その為に少量のウイルスや菌などの侵襲があっても身体がもつ防御機構や免疫作用によって、直ぐに感染してウイルスや菌が蔓延するわけではない。
大半の人は新型コロナウイルスに対する獲得免疫をまだ持っていないことから、効率的な免疫による無毒化はできていない。しかし細胞免疫レベルの免疫機能というものは活動しているはずなので、まったくの無防備というわけでもない。この状況を例えると、鎮圧兵器をもつ軍的な治安維持組織が動くのか警察組織レベルの治安維持組織が動くのかの差ではないだろうか?
だから現状の警察組織レベルの治安維持組織に該当する細胞免疫レベルで対応できるウイルス量であれば、まだウイルスが細胞内に侵入して増殖する感染という状態を阻止できる可能性が高いわけだ。
さらに唾液や胃酸などに含まれる酵素、これによってもある程度の不活化が期待できる。そうした免疫細胞の働きと上気道の構造的な防御機構でもってウイルスを各個撃破できる状態を作り出すためには、体内へと侵入してくるウイルス量が少量ずつである必要があるわけだ。その為に換気と三密が推奨されているわけである。
4マスクを着用する
目的:ウイルスをまき散らさない目的と、自身をマスクというフィルターでもって守る二つの意味合いがある。
マスクによるフィルター能力でウイルスを完全に防ぐことは至難のレベルだ。高機能な医療用マスクでも隙間ができることがある。密閉できるとならば効果が高いがそうすると今度は息苦しくなる。これは呼気がこもる問題と、フィルターが高機能であればあるほど空気の流入量が低下するからだ。低酸素状態でいることも適応するまでは身体にとって負担となる。
日常生活使いされるマスクにはいろいろな素材が最近は用いられているが、そこまで高機能なフィルター作用のあるマスクを常用されている人は少ないのではないだろうか?
理由は費用的な理由や息苦しさなどいろいろあるかと思うが、フィルター作用による自衛をそこまで重要視しているわけはないばあい。TPO的につけているだけな場合でも、ウイルスをまき散らさない点には注意できていればいいのではないかと思う。その場合、マスクのつけ方で鼻を出しているのはいかがなものかとマスク警察的な方が物申すことで事件が発生することがあるが、鼻から吐き出す呼気でそこまでウイルスを遠くへ多量にまき散らすとは考えにくい。
それよりもマスクの素材によっては飛散させ易いマスクもあるので、その素材にはある程度配慮すべきかもしれない。
「実験で新事実「ウレタンマスク」の本当のヤバさ」ウイルス専門家、西村秀一医師が徹底検証
ここでも言っているが、マスクにってウイルスの侵入を完璧に防ぐことはおそらく難しいだろう。だから侵入ウイルス量を減らすことができればいいという思いっきりと、同時に洗濯を繰り返したウレタンマスクなどを使用している時に咳やクシャミが出る時は手や腕でもって飛散防止に配慮する方がいいのではないかと思う。
5感染機会を減らす
目的:ウイルスに遭遇する感染機会事態を減らすことで感染しないようにする方法。
これが実質一番感染対策になる究極の方法である。いわゆる引きこもり的作戦でもって、人と出会う可能性を減らすという作戦だ。ただ引きこもるというのは社会生活が営みにくい、仕事や買い物などどうしても外出の必要性がある時もある。なので出来る限り感染症対策としては基本方針にしてほしいのが、実質的に難しいかもしれない方法である。
宅配サービスと宅配ポストの活用や、ラインなどのテレビ電話的な動画併用の通信サービスもある。ああした便利なサービスや機能を上手に活用して感染機会事態を減らすのがある意味理想的である。
6換気をする
目的:空気を定期的に入れ替えることで、感染者がいたとしてもウイルス濃度が下がることで感染する確率を下げる作戦。
三密に通じるウイルス濃度を減らすことで、ウイルスの物量作戦ともいえる感染力を低下させようという対策。飛沫感染が認められる新型コロナウイルスの場合、飛沫事態を常時換気で排気できていると理想的ではある。ただ寒い冬季などの場合は、定期的な換気でウイルス量が減るだけでも感染する確率は減らせると思われる。
冬季の場合、換気のし過ぎともいえる低温状態の方がかえって身体を冷やすことで免疫力の働きを低下させる可能性があるのでバランスをみて対策したい。換気扇などを利用する場合は、部屋の空気の流れを考慮する必要があるかとおもう。
7健康的な生活(運動・食事・休息)を心掛ける
目的:生活習慣に配慮することで身体を調え、自然治癒力や免疫力を高めることでウイルスや菌に負けない身体を養う。ある意味一番健康には大切な行動。食事では必要な栄養を摂取し、運動では体温を作り血液を巡らせる。その反復が必要な筋肉維持につながるので、過度な運動を必ずしもしなくてもいいので適度な強度の運動を複数回にわたり日常の中に取り入れるのが望ましい。そしてできていそうで一番難しいのが休息をすることだ。休息とは休み回復することである。回復につながる工夫をしながら、しっかりと身体を休め調えなければならない。ただだらだらとするだけが休息ではないので、回復につとめていただきたい。
基本的に新型コロナウイルスは致死性の高い殺人ウイルスという訳ではない。なのになぜこんなに猛威を奮うのか?それは人類にとって新顔なウイルスだからだ。コロナウイルス自体は以前から遭遇して共存していたのだが、今までとちょっと毛色の違う新たなコロナウイルスに人類が出会ってしまったのである。ちなみにコロナウイルス系で危険な風邪に、SARS(サーズ)とMERS(マーズ)なんてのがある。以前に流行ったが、幸いに日本では流行せずにすんだタイプだ。
サーズやマーズに比べて今回の新型コロナウイルスと呼ばれている風邪は、病毒性が弱い。なにしろ無症状なんて状態の人が現われるぐらいである。ただ無症状患者でも実際には自覚しない程度の肺炎を起こしていることもあるそうだ。その為に無症状患者なのに後遺症が診られるという人が少ないようだが確認されているようである。
ではなぜこんなにも同じ新型コロナウイルスに感染しても症状の軽重が変わるのだろうか?なにしろ無症状から重篤な肺炎の為に死に至るまでの差が肺炎症状だけでも診られる。個人差が大きすぎるのではないだろうか。また日本や東アジア圏はまだ死者がましなのだが、欧米に至っては感染者が多いどころか死者数の数も半端ではない。
重症化しないX因子が東アジアにはあるのだと一時期は言われたが、実際のところはわからない。今のところ重症化する因子として、ネアンデルタール人由来の遺伝子を持っている人は重症化する傾向になるということが遺伝情報から解明されただけだ。
「ネアンデルタール人より受け継がれた新型コロナウイルス感染症の重症化に関わる遺伝要因」
ただ個人的に感じるのだが、遺伝子的な重症化因子は確かに存在するとは思うのだが、それよりも生活習慣からくる重症化因子もあるのではないかと感じている。例えば飲食の傾向などだ。東アジアは肉食中心の欧米食というよりも、菜食とまでは国によっていえないが穀物を主食にする食文化を持つ。そんな食生活によって育まれた腸内細菌や日常の飲食から摂取されるビタミンやミネラルによるところがあるのではないかと思うのだ。
腸内細菌層と免疫の関係は、科学的には以前より話題にはなるがまだまだ未開の分野である。そんな分野から重症化を読み解こうとしているニュースがこちらだ。
「コロナ感染で重症化、腸内フローラのバランスに関連性?」
これは大いにあると思うのだ。自分が師事した鍼灸の師匠である森美智代師匠はある分野では有名な人である。俗にいう不食の人だ。今でこそ日に青汁一杯と数種のサプリメントを摂るだけの師匠だが、産まれた時からこんな生活をしていたわけではない。20代の頃に脊髄小脳変性症という難病に罹ったことがことの始まりだったようだ。
縁あって師匠は甲田光雄医師によって救われた。その時に甲田医師がとった方法が食事療法と西式健康法を併用した体質改善法だった。甲田先生を信頼し、食事療法と運動療法に邁進した森師匠はその甲斐あって脊髄小脳変性症を克服するに至る。
一番症状が悪い時は歩く事すらできなかった状態が、今となっては普通に歩くだけでなく時には走ったり跳んだりしても大丈夫な普通の状態といっていい生活をしている。その時に甲田先生が指導した生活習慣の改善からどんどんと体質は変化し、十数年前には今の不食の人という状態にまで至っている。
人は適度なストレスをかけて鍛えると、適応できたなら凄い可能性を秘めているようだ。この場では脱線してしまうので詳しくは解説しないが、その食事療法を数年にわたり実行し続けると腸内細菌叢が草食動物に近くなるようだ。不食状態になって数年以上たった師匠の便を、辨野先生という腸内細菌を研究している先生が調べた時、腸内細菌が牛のような草食動物の腸内細菌が沢山発見したとの話があった。
このような草食動物と似た腸内細菌叢にまで進化するのが、師匠だけの才能ともいえる特質なのか取り組んだ皆がどれくらいで変化していくのかどうかは今のところよく解からない。ただこの食事療法は摂取カロリーを抑制することで飢餓ストレスをかける。
その飢餓ストレスは遺伝子の最適化という覚醒を促す。低カロリーからくるストレスは、解糖系とミトコンドリア系の切り替えをスムーズにしたうえにミトコンドリアでのATP産生効率も鍛えてくれる。そうした身体のシステム変化が良いように起きることで体質は改善される。なぜこのような話をするかというと、最近の病気と腸内細菌叢との関係に関する研究から腸内細菌と健康は非常に密接であるということが解りだしてきている。
日常の生活習慣の一部である飲食によって、あなたの腸内細菌叢がどの様に育成されているかが健康に関わってくるという事を知って欲しいのだ。甲田医師が指導する食事療法は個人状態を診ながら指導する形態なので、今回は詳しく解説すると長くなり過ぎるので今回は別のニュース情報を紹介したい。
「口腔環境、ストレス、etc…。腸内フローラ(腸内細菌叢)を蘇らせる4つのキーワード」
また食事からとる栄養によっても新型コロナウイルスに有効と考えられているものがある。比較的初期から言われているビタミンCやDに亜鉛など、そして筆者が特に治療薬へとつながるのではないかと期待している天然アミノ酸の一種である5-ALAである。
このアミノ酸については飲食から摂取する量では薬としての働きはとても期待できないそうだが、もともとミトコンドリアの代謝を促進する作用からとる方がいいのは間違いないだろう。発酵食品やトマト、ホウレンソウなどの緑黄色野菜などにも含まれているとのことだが、サプリメントなどでも販売はされている。比較的安全性は高いようなのだが、治療薬レベルの効果を期待する濃度となるとどんな副作用があるかわからない上にどれくらいの量を摂取すると薬として効果が期待できるかもまだわからない状態だ。
ただ今後の研究によってはワクチンよりも副反応の点で安心ができる対応策が確立されるかもしれない点に光明を見出したい。長崎大学熱帯医学グローバルヘルス研究科の北潔教授には頑張っていただきたい。
「コロナ増殖抑制のアミノ酸 長崎大が特定臨床研究 コロナ治療薬に期待」
「”天然のアミノ酸が新型コロナへの感染を抑制” 鍵はマラリアとのある共通点」
「ビタミンD、C、E、亜鉛、セレン、ω3脂肪酸は新型コロナウイルスのリスクを下げ得るか?」
そして生活習慣としては飲食だけでなく、運動と休息をバランスよく取り入れる必要もある。食事が必要な栄養や栄養素を補給する意味合いがある様に、運動や休息にも意図がある。その意図を満たすならば、最低限の成果は自ずとついてくる。そこで運動はなぜおこなうべきなのか?そして何を目標に運動に取り組むべきかを考えてみたい。
運動のメリットは、筋肉を維持する為と一般的に言われているように思う。ただもっと本質的な効果として、血行を促進して体温を作る点に注目したい。
大半の人が運動をしなくてはいけないというのは怠惰の延長線上に廃用症候群またはロコモティブシンドロームと呼ばれる状態にならない為に筋肉は大切で、その為にも運動は不可欠だ。または身体を動かすことで筋肉を維持するのは大切だという考えが運動の必要性を考える一番の理由なのではないだろうかと思う。
運動をおこなうメリットとは筋肉維持だけではなく、その過程で筋肉が使われると同時に体温やATPが産生され、さらに血流が全身を駆け巡ることになるという現象にこそ焦点を当てたいと思う。
血流が全身をよどみなく流れるのは非常に健康にとっては大切なポイントだ。またその時に基礎体温が36度代ぐらいで安定している方が望ましい。ただこの基礎体温は黄色人種の理想であり、他の人種によってはどうも基礎体温にある程度の誤差が存在するようだ。だから最近このブログを読んでくれている白人種の方々は黄色人種よりも基礎体温が少し低いと聞いたことがあるので、自分に適した基礎体温を目指して欲しい。
決まった時間や決まった量の運動メニューをこなすよりも、理想的には日常動作の中に身体をしかりと動かす工夫をとりいれるといい。通勤中にエスカレーターやエレベーターを普段は使うところを少しは階段を利用するようにしたり、乗り物を使って移動する区間の一部をあえて歩くようにしてみたりするといい。他にも掃除をする時に、あえて拭き掃除を増やしてみたりするのもいい。
動きを工夫して日常動作の中に組み込んで習慣化してしまうが理想だ。そして一回の取り組みで汗ばむほどの運動強度を目指す必要はない。ごく軽いものを一日の中に複数回組み入れて総合的に身体が温まって血のめぐりもよくなっているのが目標だ。
そして睡眠を代表にするが、休息もしっかりととる必要がある。生活のリズムによって寝る時間を提案しても達成できない人もいるだろうが、理想的な睡眠の時間帯は21時から5時頃までの間だろうか。何時間寝なければいけないというものではないが、肉体の疲れと同時に消化器系を中心とした内臓もしっかりと休める必要がある。
また昼寝を日中に少しとることで、昼寝後の活動を円滑にするのも好い。肉体的な回復効果だけでなく、気分転換と脳の回転が良くなると一般的には言われている。そして夜、寝る時にはスマホやPCなどによる光刺激は神経を高ぶらせてしまうことがあるので、極力避けるのがいいとされている。視神経を中心に現代人はPCやスマホなどの画面からの刺激で神経系が疲労を蓄積し過ぎている人がいるので、要注意だ。この疲労は自律神経のバランスを崩す原因になることもあるから要注意である。
筋肉を中心とした運動器系の疲労、消化器系を中心とした内臓疲労、自律神経を中心とした神経系の疲労、この3タイプの疲労を回復させる工夫をとりいれると、より健康になること間違いなしだ。
さらにできる事はないのだろうか?
上記の7項目で感染予防としての対策が万全かというとそうではないと思う。7番目の「比較的健康的な生活(運動・食事・休息)を心掛ける」という考えがしっかり機能していればかなり有力な対策になるかと思うが、具体的にどうすればいいかというと個人差によって千差万別だと思う。
だからこれだけをしていれば大丈夫という絶対の方法はないといえるのだが、あえてそれでも方策を見出すとするならば自身の身体に状態を問いかけ生活の仕方を逐次工夫することのできる自身との対話能力を鍛えるということだろうか。身体は常に何らかの信号を発している。我々鍼灸師はその極一部を解読して施術するわけだが、そのような身体が発しているサインに自分自身で気づきその都度生活の仕方や生き方を改める姿勢が一番の対応策だといえるのではないだろうか。
具体的にどの様に考えれば自身の出すサインに気付けるようになるかというと、私は操体法を紹介したい。ネットなどで検索するとどうしても操体法の動のごく一部分がクローズアップされがちではあるが、息食動想環の五項目については自身で責任をもって生活をしなければならないと考えている。この5項目を重点的に自身を観察することで、自身の問題を把握すると同時にその問題に対して改善方法を見出すのが本来の操体法だと私は認識している。
興味のある方は、操体法や温故堂などで操体法の普及に努める団体につながって情報を得ていただきたい。今年は初のオンラインでの全国大会も企画されているので、操体法の普及や実践の仕方もいろいろと変化しだしているのでこんなご時世ではあるが操体法をお勧めする。
家庭でできる手当法
感染予防というよりも、先ずは自然治癒力を高めるという方向性で考えていきたい。
私は血流の良さとその流れる血の質によって健康は左右されると考えている。血流が滞っていたり、流れが不均等だと細胞が健康に過ごせない環境が出来上がってしまう。細胞が生きにくい環境は、確実に健康的だとは言えない。まずは細胞の状況を想像していただきたい。新鮮な血流が来ない状況とは、物流が絶たれている状況に近い。
さすがに血が止まる訳ではないので、滞ると考えるなら買い物に出ても満足に必要なものが手に入らない状況だろうか。さらに血流の滞りは、細胞の排泄物ともいえる不要な代謝物を洗い流してもらいにくくなるともいえる。だから我々にとってはごみ回収や下水などの行政サービスでもって、家庭ごみやし尿処理などをあまりしてもらえないという不衛生な状況をもたらすともいえる。
だからこそ細胞が過ごしやすい環境を提供してあげる必要がある。ではどうすれば血流の不均等が改善できるのだろうか?お勧めは西式健康法の毛管体操だ。この体操は仰向けに寝転び、手足を上に挙げることで手足にある血管を重力作用と微振動が最適だが血液をふるいにかけることで胴体に集める。手足を軽い貧血状態にすることで細胞の血液断食というストレスを与える。
そのストレスに反応することで血管の新陳代謝が促進されるメリットと動作によって血液が動くことによる血流の不均衡是正である。末梢循環の新陳代謝が促進されることで毛細血管が育つと、毛細管現象によって血液の不均衡が是正される根本解決の原動力となる。この運動時の効果と毛細血管を鍛えることによる効果。特に手の血液が動くと胸部の血流にも大きな影響があるので、肺の新陳代謝に大きく影響する。
流水腐らずという言葉がある様に、菌やウイルスが細胞に付け入るすきとは血流が悪かったり流れている血の質がよろしくない時だと思う。血流が悪いというのは細胞の代謝が悪いだけでなく、免疫が働きにくい環境ともいえるからだ。細胞免疫も抗体も血流によって現場に駆け付けるのだから、道理といえる。
だから先ずは血の流れが良くなくてはならない。この考え方は、奇しくも上記の9のニュースが出ることによって自身をもつことができた。
そして今度は流れる血の質である。質とは栄養バランス的な視点も必要だが、肝臓や腎臓による血液クリーニング作用も大切だ。肝臓は身体の化学工場と異名を持つほどに分解や合成をおこなうことで必要なものを作り出し、また不必要なものを無毒化する為に働いている。そして腎臓は濾過をすることで不要なものを尿に濾しとり体外へと排泄する働きを担っている。
肺もガス交換を通じて血液の質を守る重要な臓器ではあるが、先ずは肝腎かなめともいえる肝臓と腎臓の手当てを紹介したい。肝臓も腎臓も血流をよくして代謝に適した温度へと温めるのがいいと思う。こんにゃく湿布というこんにゃくを熱源にした温湿布法も存在する。これに対して脾臓は冷やす方がいいともいうが、ここではあえて割愛する。冷やす時は短時間で良いかと思う。
肝臓や腎臓を温める時は、こんにゃくに限らず湯たんぽやカイロを用いるといいと思う。温める場所は肝臓は右の季肋部からみぞおち近くまで肝臓があるので、その周囲と考えるといいかと思う。あえて細かく考えるなら期門穴と中脘穴の二点を温めるとよいかもしれない。
腎臓は背中のおへその高さより少し上あたりを背骨を中心に半径5センチぐらいの周囲を温めるといいかと思う。どちらも時間にして20~30分ぐらいじっくりと気持ち好いか少し熱いくらいかの温度で温めるといい。火傷に注意しながら、じっくりと熱を内臓にまで浸透していただきたい。すると肝臓や腎臓の疲労から低下気味だった体温が輸熱されることで生化学反応が促進されることで代謝は上がる。
ただこの方法はじっくりと休む休息があってこそ、初めてバランスの取れる方法だ。疲れた体を工夫で奮い立たせて無理を重ねると確実に壊れる。だからこの温めるという考え方は休息の効率を高める方法であるが、四六時中温めて生化学反応を高めるともっと効率的でいいのではないかと思う人は思いとどまって欲しい。
温めて代謝が促進さるうちにしっかり身体を休めておかないと、可逆的な損傷から不可逆性損傷に損傷がより深刻化する。可逆性とはまだ戻れる範疇な損傷であり、不可逆性とはもう元には戻れない損傷のことをいう。頑張り屋の人は大抵不可逆性の損傷まで無理をして後悔をする。資本家が労働者にもっと効率よく働けという時に、俗にいうブラック環境下で労働を強いるのかホワイト環境下で生産性を高めるかの差である。
「こんにゃく湿布」→コンニャクをホットパックの様に考えて内臓を温めて代謝を促進しようという考え方である。
「カラシ湿布」→カラシの辛み成分で循環を皮膚寄りに集めることで促進させる湿布。また辛みによる皮膚の炎症によって一時的に温まる。
上記の温湿布系統は回復促進を図る工夫でしかなく、疲労が無かったことになる魔法のような方法でないことを忘れてはいけないと思う。その代わりに上手に回復の効率を上げてあげると身体の疲労は抜けるし、始動と休息の切り替えさえしっかりとすると魔法の様に感じる工夫であるといえる。